口腔外科1(親知らずの抜歯)

 親知らずってなに?

親知らずは第三大臼歯と言われ、前歯から数えて8番目にあたる歯で、最近では元々生えてこない人もいます。人間の進化の過程で、あごの大きさが小さくなることで不要になってきていることが原因と考えられています。生えるスペースがあごにない場合、横を向いて生えてきてしまったり、角度によっては生えてこれない場合もあります。

 生えていない親知らずを放置するとどうなるのか?
  • 歯並びが悪くなる。
    歯は支えがないと前方か上方に伸びようとします(ゴードンの法則)。そのため親知らずは常に前にある第二大臼歯を圧迫します。その影響で歯列全体が侵され、歯並びが悪くなります。また、第二大臼歯の親知らず側の歯根は、埋もれた親知らずによって絶えず圧迫され溶けて吸収されてしまいます。こうなると第二大臼歯を抜歯しなければなりません。さらに、上下左右4本ある親知らずが、2本あるいは 3本しか生えていない場合、噛み合う歯がないので歯肉などにあたり、その部分に潰瘍ができることもあります。
  • 歯茎の炎症が起こり痛みがでる
    親知らずが半分だけ頭を出した状態では、親知らずとその前方にある歯との間に食べカスなどが溜まりやすく、歯を磨いただけではなかなか取れません。歯と歯肉の間の深い溝に溜まった食べカスは、口中の細菌によって腐敗し、周囲の歯肉に炎症をおこし、『親知らずが痛い!』という状況を作り出します。また、食べカスにより、親知らずと第2大臼歯が虫歯なるリスクが高くなります。
 親知らずが腫れていたいとき・・・ 

親知らずが腫れて痛いとき、炎症が激しいときには、麻酔が効かず、炎症がさらに大きくなる危険もあるため、その場で歯を抜くことはできません。抗生剤と痛み止めを飲んで、ある程度症状が治まるのを待ってから歯を抜きます。通常の歯のように生えている場合には、歯を抜くのは特に問題はありませんが、横を向いていたり、歯根が顎の骨の中にある太い神経に近接している場合などには、歯を抜くこと自体も難しい場合があります。その場合は歯を抜く前に、CT撮影にて精密検査をうけて頂くこともあります。

 親知らずの抜歯の仕方について

歯茎の中に埋まっている親知らずは、正常に生えている歯を抜く方法とは異なります。まず歯茎を切開し親知らずを明示します。真横に位置している場合、手前の歯に引っかかってしまい、そのまま歯を取ることが出来ないため、歯の頭の部分と歯根の部分に分割してぞれぞれ取りだします。抜歯後は歯茎を元の位置に戻して縫合します。1週間後に抜糸を行い終了となります。

 親知らずの治療例

1. 親知らずの頭部が半分歯茎から出ています。

2. レントゲン写真で確認すると親知らずが真横に位置しています。

3. 親知らずの頭部を切断します。

4. 親知らずの頭部を取り出します。

5. 頭部を取り出すことによってできたスペースを利用して歯根部を取り出します。

6. 縫合して終了。

7. 取り出した親知らずの写真。

口腔外科2 (歯根端切除術)

 歯根端切除術 とは・・・

歯が痛むとき、よく見ると歯ぐきが腫れたり膿で表面がプクンと膨れていることがあります。また歯と歯をかみ合わせたり、熱いものを口に入れたり体が温まったときなど、特に強く痛むことがあります。 これは歯髄(神経)が細菌に感染して死滅し、さらに感染が根の先から周囲の組織へと広がっているときに起こります。また一度治療したはずの根の先に病巣(根尖病巣)があるときも、同じように症状がおき、症状がなくとも病巣からの感染はおきています。 このようなときは、根の先の病巣(根尖病巣)を治療するために、細菌感染した歯髄を歯根内から取り除き、歯の内部を消毒する「根管治療」を行います。
「歯根端切除術」とは、根管治療を行なっても症状が改善しない場合根尖病巣の大きすぎて、根管治療では治せない場合等で行う施術方法で、歯茎を開いて外科的に明視野で直接、根尖病巣(歯根のう胞、歯根肉芽種)を取り除き、症状の改善を図ります。

根尖病巣(歯根のう胞、歯根肉芽種)の絵です。

歯根の先端に細菌の塊(根尖病巣)が炎症を起こし、顎骨内で内圧が高まって歯茎が腫れます。切開すると膿が出てきます。

 歯根端切除術の利点と欠点
利点
  1. 日帰りで処置可能。
  2. 通院回数が少なく、短期間で治療が完了することが可能である事。 (1日目:検査、施術内容の説明 2日目:歯根端切除術を施術 3~5回目:抜糸、消毒)
  3. 明視野で病巣部を直接取り除く事ができるため、根管治療と比較すると治療の成功率が高い
  4. 被せ物や支柱等の補綴物が装着されている歯の場合、補綴物を外さなくても治療が可能である事。 (根管治療の場合は、歯の内部から病巣部にアプローチするため、補綴物を外さないといけません)
欠点
  1. 外科処置になるため痛みを伴います(施術中は麻酔の効果により痛みはありませんが、施術直後で 麻酔の効果がなくなると痛みが出ます。この場合は鎮痛剤で痛みを緩和させます。痛みのピークは 施術当日で、段々、痛みは無くなってきます。1週間以上は痛みが続くことは殆どありません。)
  2. 施術後、違和感が残ります。(約半年ほどで、違和感は必ず消えます)
  3. 前歯から小臼歯までの歯が適応になること⇒大臼歯は歯根の形態、本数が多い事等で解剖学的な 理由で施術できない場合が多い
 こんな経験はございませんか?

『歯医者さんに長期間、根管治療で通院しているけど治らない!』、『高額なセラミックの被せ物をつけた後に、再治療でせっかく付けたセラミックを外さないといけなくなった!』、『歯根端切除を過去に行ったが、再発して歯を抜かないといけないと言われた!』などの御経験がある方は、お気軽に御相談下さい。
治療方針を決定する上で何よりも大切なことは、ご自身の考えや希望にあった治療法を選択し納得して治療を受けて頂く事です。口腔内の状態は個人によって異なります。私たちは治療のご希望を詳しく伺い、各患者様の口腔内の状態ごとに、歯根端切除術を行う事のメリットとデメリット、また他の治療法の選択肢の可能性を分析し、治療内容についてできるだけわかりやすくご説明致します。その上で、ご本人様が主体性を持って治療法をお選び頂く事で、後悔のない治療を受けて頂きたいと考えています。

 歯根端切除術のやり方について

1. 患歯の検査を行い、歯根の形態や病巣の大きさ等を確認します。

2. 根尖病巣を摘出します。

3. 根尖病巣の感染源である歯根の先端部を切断し摘出します。

4. 根尖病巣の感染源である歯根の先端部を切断し摘出します。

5. 骨面にこびり付いている細菌層と炎症によって硬化した骨面をクリーニングします

6. 歯根の先端部から根管をセメントで封鎖します

7. 歯茎を元の状態に整復し、縫合して完了になります。 治療後は次第に骨できてき

8. 骨が再生されるまで、最低3か月はかかかります。定期検診で経過観察をしていきます。

 歯根端切除術の治療例
治療例 1

5年前ほどに上顎前歯の歯茎が腫れて根管治療を受けたが、痛みがなくなったため途中で通院をやめたとのこと。 現在まで歯茎の腫れは何回かあったが、日にちがたつと腫れが引いたため放置していた。診査したところ、根の先端に細菌の固まり(根尖病巣)ができており、顎の骨が溶かされている状態でした。はじめに根管治療にて病巣部の消毒を試みたが、感染部位が広範囲のため治癒が見込めず、歯根端切除による病巣部の完全摘出手術を行いました。術後、溶かされた骨は再生し、抜歯をせずに歯を保存する事ができました。

1. 治療前の写真。水色印の歯がの歯茎が腫れたとの

2. 治療前のレントゲン写真。根の先端に黒い影像(根尖病巣)を認めます。認めます。

3. 手術時の写真。歯肉を切開し、根尖病巣(歯根嚢胞)を明示。

4. 手術直後のレントゲン写真

5. 摘出された根尖病巣(歯根嚢胞)の写真。

6. 半年後のレントゲン写真。黒い影像(根尖病巣)が無くなり、顎の骨が再生されています。

治療例 2

主訴は、奥歯の金属製の詰め物と被せものを白い材質に変えてほしいとのことで来院されました。全体的に歯を診査したところ、上顎第一中切歯の色調が他の歯と比較するとグレー色を呈し、レントゲン写真にて歯根の先端に母指頭大の細菌の固まりを認めました。数年前から該当歯の歯茎の腫れを繰り返していたが、特に痛みがなかったため放置をしていたとの事でした。病巣の範囲が広範囲であった事から、保存治療の成功率が低いことが懸念されたため、抜歯とインプラント治療も視野にいれて治療計画をたてました。治療により歯を保存できる可能性があったため、治療方法のメリットとリスクを説明し、患者様は最大限に歯を保存することを優先した治療方法を選択しました。根管治療を3ヶ月間行い、病巣部の消毒を試みるも治癒傾向に向かわなかったため、歯根端切除による病巣部の完全摘出手術を行いました。術後の経過は良好で、病巣によって溶かされた顎の骨は再生され、歯を保存することができました。

1. 治療前の写真。
該当歯は両隣の歯の色を比較すると色が変色しています。

2. 治療前のレントゲン写真。
根の先端部に根尖病巣(歯根嚢胞)を認めます(根の先端にある黒い影:赤丸印)

3. 根尖病巣(歯根嚢胞)を摘出時の写真。

4. 顎骨から摘出された根尖病巣(歯根嚢胞)の写真。

5. 1年後のレントゲン写真です。歯根の先端にあった根尖病巣(黒い影像)がなくなり、顎の骨が再生されて、骨密度も基の状態に回復しました。

6. 治療後の口腔内写真。

治療例 3

主訴は、左上の前歯の歯茎に出来物ができたとの事で来院。診査したところ、レントゲン写真にて、根尖病巣(歯根嚢胞)を認めました。左上の前歯は、10年以上前に根管治療を行い、金属製の土台が装着されています。
再度、根管治療を行うためには、土台を外さなければならいのですが、土台のポスト部が歯根の先端部まで装着されているため、土台を撤去する際に歯根が割れる事が懸念されました。そのため、歯茎の外から直接、病巣部を取り除く、 『歯根端切除術』を施術しました。術後は、根尖病巣によって溶かされた顎の骨は再生され完治しました。

1. 術前の写真。
歯茎がプクンと腫れています。何もしていない時は痛まないが、前歯で咬むと痛みがあるとの事でした。

2. 術前の写真。
歯根の先端に根尖病巣(歯根嚢胞)ができています。黒い影像は、顎の骨が溶かされて骨密度が低い状態を表します。

3. 歯根の先端に膿がたまり、内圧が高まると、歯茎が腫れて、痛みを伴うようになります。

4. 手術直後の写真。
根尖病巣(歯根嚢胞)の摘出と、歯根の先端部の一部を切断、摘出。切断面にはセメントを充填します。

5. 3年後の写真。
歯根の先端にあった根尖病巣(黒い影像)がなくなり、顎の骨が再生されて、骨密度も基の状態に回復しました

6. 3年後の口腔内写真。
歯茎の出来物はなく、きれいに治っています。 再発はなく、経過は良好。

治療例 4

主訴は、上顎前歯の歯茎が腫れて、差し歯の色が気になるとの事で来院されました。レントゲン写真にて、左上の前歯の歯根の先端に歯根のう胞を認めました。当初は、歯の内部から、歯根のう胞に直接、薬剤を塗布して消毒(感染根管治療)を行っていましたが、治癒傾向に向かわなかったため、歯根端切除術を施術しました。術後は、根尖病巣(歯根嚢胞)によって溶かされた顎の骨は再生され、完治しました。

1. 術前の写真。
歯茎がプクンと腫れています。歯茎を押すと痛みがあるとの事。

2. 歯根の先端に膿がたまり、内圧が高まると、歯茎が腫れて、痛みを伴うようになります。

3. 術前のレントゲン写真。
他院で根管治療を受けていたが、中途で通院を中断されたとの事。

4. 手術直後のレントゲン写真。
感染源である歯根の先端を切除し、根尖病巣と一塊にして除去しました。

5. 半年後の写真。
歯根の先端にあった根尖病巣(黒い影像)がなくなり、顎の骨が再生されて、骨密度も基の状態に回復しました。

6. 半年後の口腔内写真。
歯茎の出来物は消失し 再発はなく、経過は良好。

治療例 5

左上の八重歯がズキズキ痛むのと前歯で咬むと痛みがあり来院されました。左上の八重歯は、レントゲン写真にて歯根の先端に根尖病巣を認め、また過去に神経をとる治療を受けており、ブリッジの支台となっていました。根管治療を行うためには歯の内部からの消毒が必要となるため、ブリッジを削り取必要があります。患者様と相談した結果、ブリッジを外さないで治療が可能である『歯根端切除術』を選択し、施術しました。術後の約3~4か月位は歯茎の違和感があったが、半年経過した現在は、違和感は全くなく、根尖病巣によって溶かされた顎の骨も再生され、完治しました。

1. 術前の写真。
根尖病巣(歯根嚢胞)があるのは、犬歯(水色の印)になります。

2. 術前の写真。
歯根の先端に根尖病巣(歯根嚢胞)ができています。黒い影像は、顎の骨が溶かされて骨密度が低い状態を表します。

3. 根尖病巣(歯根嚢胞)を摘出時の写真。

4. 縫合後の写真。バクテリアやプラークが付着しにくい、モノフィラメント(単糸)を使用して縫合します。

5. 半年後の写真。
歯根の先端にあった根尖病巣(黒い影像)がなくなり、顎の骨が再生されて、骨密度も基の状態に回復してきています。

6. 半年後の口腔内写真。
歯茎は綺麗に元の状態に治っています。

治療例 6

検診でレントゲン撮影にて根尖病巣(歯根嚢胞)を発見した症例です。痛みなどの自覚症状は全くありませんでしたが、根尖病巣(歯根嚢胞)が、隣のインプラント(人工歯根)に接触しており、周囲の骨を溶かしています。このまま放置すると、インプラント周囲炎を起こす事が懸念されたため、該当歯の根尖病巣(歯根嚢胞)の摘出手術を行い、完治しました。

1. 術前の写真。
根尖病巣(歯根嚢胞)があるのは、犬歯(水色の印)になります。

2. 術前の写真。
歯根の先端に根尖病巣(歯根嚢胞)ができています。根尖病巣が隣のインプラントと接触して、周囲の骨を溶かしています。

3. 半年後の写真。
歯根の先端にあった根尖病巣(黒い影像)がなくなり、インプラントの周囲の骨も再生されています顎の骨が再生されて、骨密度も基の状態に回復してきています 。

口腔外科3 (粘液嚢胞摘出)

唇や頬の粘膜の下には、唾液を分泌するたくさんの小唾液腺(しょうだえきせん)という組織があります。唇を噛んだり異物が刺さったりすると、小唾液腺が傷つけられて唾液の分泌障害がおこり、粘液の塊ができます。この粘液の塊を粘液嚢胞(ねんえき のうほう)と言います。


下唇に出来た粘液嚢胞の写真

【好発部位】

下口唇、口腔底、舌、頬粘膜に多くみられます。なかでも、口腔底に生じた大きなものはガマ腫とよばれ、舌尖部下面に生じたものは、ブランディン・ニュー嚢胞とよばれています。

【好発年齢】

いずれの年代にも生じます。小唾液線に関連したものは、10歳未満から20歳代の男女いずれも発生します。ガマ腫は10~30歳代の女性に多くみられます。

【症状】

痛みはなく、大きさは直径5〜15mmで、丸くて軟らかい腫瘤です。表在性の場合はやや青みがかり、深在性のものは、健常の粘膜色を呈します。のう胞が破れると、内部から粘稠な液体がでてきて、腫れは一時的に消えますが、数日で再発してきます。

【原因】
  • 唇や頬、舌を噛んで、傷をつけた
  • 歯の先端が尖っていて、唇や頬、舌を頻繁に擦って傷をつけた
  • 入れ歯の金具や縁の部分が、唇や頬、舌を頻繁に擦って傷をつけた
  • 歯ブラシや食べ物で唇や頬、舌を傷つけた
【治療方法】

粘液のう法と小唾液線の一部を摘出。

症例1 下唇にできた粘液嚢胞の症例

17歳男性。下唇内側の腫脹を主訴に来院。2か月前に無痛性の腫脹を自覚したが、1週間程で粘稠な液体が流出 し、腫れが消失した。その後、同様な経過を3回繰り返し、腫脹が徐々に大きくなってきた。

粘膜が半球状に膨隆している。痛みはないが、食事の際に、頻繁に唇を噛んでしまうとのこと。

唇の上皮を切開し、粘液のう胞を露出させます。

粘液のう胞と小唾液線の一部をを摘出します。

摘出された粘液のう胞。大きさは

開放創となった口唇粘膜を縫合して閉鎖創にします。

2週間後の写真。

症例2 下唇にできた粘液嚢胞

40歳女性。下唇内側の腫脹を主訴に来院。2週間前に誤って唇を噛んでしまい、しこりができた。痛みがないので、このまま様子をみていたが、自然治癒しないため、来院された。

粘膜が半球状に膨隆している。

摘出された粘液のう胞。大きさは約6mm

治癒写真

症例3 歯茎の粘膜にできた粘液嚢胞

28歳女性。3週間前に電動歯ブラシで歯を磨いていた時に、誤って、下顎の頬粘膜の内側の歯茎に傷をつけて出血したとの事。そのあとに、いつの間にかに白色の出来物ができた。痛みはないが、悪い病気かと思い来院された。

粘膜が半球状に膨隆している。

粘液のう胞と小唾液線の一部を摘出します。

摘出された粘液のう胞。大きさは約1cm。

開放創となった口唇粘膜を縫合して閉鎖創にします。

治癒写真。

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